| 鎌倉ヒロ病院は鎌倉地域の医療を担う、内科・循環器科・外科・胃腸科・整形外科・産婦人科・脳神経外科・泌尿器科・肛門科・リハビリテーション科を備えた病院です。 | ||||||||||
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1)東洋医学 「疼痛疾患に対する”代替医療”としての鍼灸治療について」整形外科の対象疾患は運動器(骨、関節、筋肉などの軟部組織)の病変であり、多くの患者さんは肩こり、頚部、腰背部痛、膝関節痛を訴え、外来を受診されます。診断と治療の手順は一般に疼痛のある場所のレントゲン(X線)診断が基本であり、疼痛とX線像における骨変化との因果関係を検索いたします。これは我々が医学部で教育され、無意識のうちに実践している疾病を理解するための原因解決モデルという西洋医学の基本的な考え方です。特に整形外科ではX線像の変化、所見と臨床症状が一致することが正しい診断の基本であります。しかし、時には画像診断と症状が一致しない例、”不定愁訴”といって不確定な症状が持続する患者さんも多い。特に大病院では-X線像では異常はありません、年のせいだから治りません、気のせい(神経質、ヒステリー)でしょうなど、患者さんの症状はあるものの、いわば匙(さじ)を投げられた格好となります。この場合、患者さんの中には病院に行くのはあきらめて、我慢する人もあるでしょうし、人から効果があると聞いて勧められた、いわゆる民間療法を求める人もあるでしょう。民間療法は大体の医師は嫌うものの、一般人にはなぜか人気があるものが多いです。民間医療とは科学的にその効果の証明されていない、通常の病院では実践していない療法のことで、各種健康食品、アロマセラピー、精神(お祈り)、心理療法(手かざし)などがありますし、異論はあるでしょうが、東洋医学(漢方、鍼灸、指圧、気功)もここに分類されてきました。従来、現代医学を実践している医師からみれば民間療法はすべて何か怪しげな、まゆつばものとみなされる傾向にありました。しかし、近年、これら治療法の中には確かに効果のみられる治療法があること、作用機構や有効性が科学的に証明さるものもでてきました。また、総じて現代医療でみられる副作用が少ない治療法が多く、マスコミでとりあげられることも多く、現在では現代医療に対しての代替医療、補完医療として科学的評価を求める動き(学会の設立)が盛んになっています。 鍼灸治療の原点の考え方は中国の陰陽五行論からなるため現代医学を修めた医師の知識とは相いれない、理解しがたい理論です。しかし、鍼灸治療法自体は中国2000年の経験、歴史の中で現代に生き残った実用経験医学であり効果がなければとっくに消滅していたはずです。また、治療手技も我々、解剖学を修めたものにとっては簡便であり、現代医療で行われている疼痛部位に対する局所ブロック注射(局所麻酔剤+ステロイド)に比べても患者さんに対して侵襲の少ない治療法といえます。また、鍼灸の作用機構や有効性についても生理学、生化学的検討から少しずつ、科学的に証明されてきています。もちろん、現代医学の手法により原因が明らかな器質的疾患に対しては本質的治療とはなり得ないことは言うまでもありませんが、逆に西洋医学療法の適応からはずれているような運動器、筋骨格系の変性(加齢)疾患、症候群ー 各種神経痛、五十肩、腰痛症、頚腕症候群、頚椎 捻挫後遺症、”不定愁訴”などに思いがけない効果がみられることがあります。実際の治療は痛みの部位への鍼と灸治療(局所治療、温熱治療)と経絡理論に従った手足のつぼへの皮内鍼の設置(遠隔治療)の併用で難解な理論を理解せずとも十分な治療効果が得られます。現代医療を否定しすべて民間医療に頼ることは愚かなことですが、民間療法の中には我々が行っている鍼灸治療のように現代医療との併用で、文字通り現代医療の足りないところを補完する代換医療、補完医療としてきわめて有用なものがあることをお話しました。 2)軟部腫瘤(腫瘍)とは軟部腫瘤ーしこり(腫瘍)は身体のあらゆる部位に発生することより、患者さんは外科、整形外科、皮膚科などいろいろな科を受診しますが、いずれの科においても軟部腫瘍の専門家はまずはいないと考えていいと思います。また、腫瘤自体も脂肪の塊(脂肪腫)、あるいは汗腺、毛のうから出来たアテローム(臭い)、中にゼリー様液を含むガングリオンなど良性病変のことが多く、診断と治療にさして問題のあることはないと思います。気にさえしなければ放置しても良いし、手遅れもない。しかし、やっかいなことに軟部腫瘍の仲間には頻度は少ないですが、生命予後不良ながんの仲間である悪性軟部腫瘍(以下軟部肉腫)が混在しており、早期診断と初回(初期)治療に問題を生じ、専門施設を受診する例、局所再発、転移により予後不良となり、医療トラブルになる例が意外と少なくありません。今回、軟部腫瘍の臨床診断、専門医に相談すべき軟部肉腫との鑑別診断のポイントを述べます。 1.頻度良性腫瘍として頻度の多いのは脂肪からできている脂肪腫、神経に関係する神経鞘腫、血管からなる血管腫であり、いずれも画像診断としてMRIの特徴像より診断可能であります。また局所再発の多い良性腫瘍としては腱鞘発生巨細胞腫、類腱腫などがあります。一方、軟部肉腫としては全国悪性軟部腫瘍登録(国立がんセンター)によると病理組織学的特徴から円形細胞肉腫としては横紋筋肉腫、非円形細胞肉腫としては脂肪肉腫、滑膜肉腫、悪性線維性組織球腫(MFH)、神経肉腫、平滑筋肉腫などがあります。日本における軟部腫瘍登録は十分に行われてはいませんが、軟部肉腫の発生頻度は骨肉腫などの原発性悪性骨腫瘍よりはるかに多く、3~5倍以上の頻度といわれています。 2.病変部位軟部腫瘍は身体のあらゆる部位に発生する可能性がありますが、特に好発部位は四肢ー大腿部、殿部、下腿、上腕部、体幹部ー腰背部、後腹膜腔など軟部組織の豊かな部位です。特に殿部、後腹膜腔などは腫瘍自体による症状が少ないことより、かなりの大きさに成長しないと気がつかない事があります。また、X線像で描出できないため長期間坐骨神経痛で治療していた患者さんの臀部あるいは大腿部に巨大な腫瘍があった例も経験しています。 3.臨床診断腫瘍が単発発生か、多発発生か(神経線維腫症、血管腫、sarcoidosisなど)、初発からの経過(あまり早期だと炎症も考えられる)、疼痛の有無(神経性腫瘍、滑膜肉腫)などです。最も重要なのは腫瘍の大きさ、病変の深さ(皮下など浅在性か深在性か)です。病変部位が深在性で、5cm以上と大きいものは脂肪腫以外は悪性の可能性が高く、専門施設に相談されることをおすすめします。軟部肉腫が初期診断として膿瘍、血腫と誤診され、治療が遅れた症例もみられます。また、初回治療が患者さんの運命をほぼ決めることより、局所麻酔による安易な切除(単純切除という)は軟部肉腫に対しては致命的な結果を招来することがあります(足関節の滑膜肉腫、拇指の明細胞肉腫、拇指の類上皮肉腫、ほか)。軟部肉腫の専門家は私どものように整形外科の腫瘍を専門としている医師であり、是非初回より専門家に受診、相談されることをおすすめいたします。 3)骨転移とは骨は悪性腫瘍の最もしばしば転移、しかも血行転移する標的臓器の一つです。とくに癌の骨転移は悪性骨腫瘍のなかで第一の発生頻度(60%以上)であり、日常診療でも頑固な疼痛の持続する脊椎転移、長幹骨の骨病変(病的骨折)などの形で経験されます。近年、各種診断法の進歩、放射線治療、手術、化学療法などの進歩により骨転移に対しても積極的な治療が行なわれ、日常生活の質の向上( Quality of life)を求めるようになっています。 1.診断骨転移の症状は姿勢の変化、安静により軽減しない頑固な疼痛です。骨転移は体幹部、四肢近位の血流の豊かな赤色髄に生じ、単純X線像では骨膜反応を伴わない骨吸収像を主体とします。骨吸収像は腫瘍の増殖速度の早い浸潤像、虫食い像から発育の遅い腎癌、甲状腺癌などのように、良性骨腫瘍を思わせる境界明瞭な地図状病変を示すこともあります。骨転移を疑われる症例に対してもっとも簡便な補助診断法(スクリ-ニング)は核医学検査としての骨シンチグラムです。また、MRIは脊椎病変の描出に優れており、ガドリニウム造影MRIにより病変が造影されればさらに転移の可能性が高くなります。 2.治療骨転移の治療の目的は除痛、機能障害の回復、腫瘍のコントロ-ルにあります。また、骨転移と一言でいっても病期、増殖のスピ-ド、化学療法に対する感受性など原発腫瘍によりかなり異なることにより、何を優先するかが重要です。一般的に甲状腺、乳腺、前立腺 腎の骨転移は経過が長く、化学療法、ホルモン療法なども効果があります。したがって治療の目的も腫瘍のコントロ-ルとともに局所病変(骨転移)に対する除痛、機能障害の回復をはかります。一方、消化器癌、肺癌などの骨転移は化学療法に抵抗性であること、腹水、肝転移を合併することが多く非常に早い経過で死亡することが多い。したがって治療の主体は腫瘍のコントロ-ルでなく除痛を得るための対症療法となります。
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